百行は一果に如かず
まあ、ものの表情をしげしげと見る時間も惜しいみたいな生活、というのは反省しなきゃいけないんじゃないかなこれな。
柚木沙弥郎
ものが発する声。それを聞き取る中で、ものへの愛着も深くなる。昔、ものを買った時には「一人の家族が自分の家に入った位の感覚」があったと染色家は言う。その背後には、食べ、働き、育て、泣き、衝突し、といったリアルな生活感の堆積があったはずで、それが消費社会の中でかき消されつつあると。『柚木沙弥郎作品集』から。
ーー折々のことば 鷲田清一
こうしたメディアは「Made for Advertising」と呼ばれ、広告業界団体のISAは2023年のレポートで、このような広告収益を獲得するために作られた低品質なメディアに、プログラマティック広告全体の20%が吸い込まれている可能性があると指摘しています。低品質といっても、機械の目は一定欺くことができ、検索トラフィックを奪い、ユーザーの可処分時間を奪い、メディアを傷つけます。
さらに直近ではAIによってメディアの記事を巧妙にコピーして再公開するウェブサイトが増殖しているようです。
このようなウェブサイトは「ピンクスライム」(屑肉から作られたミンチを指す)とも呼ばれ、近年、懸念が広がってきました。特にローカルメディアが崩壊し、ニュース砂漠が広がっている米国では、それを埋めるかのように、低品質なコンテンツを大量生産するピンクスライムなサイトが問題になっています。それらは特定の政治団体に支援されているケースもあると言い、党派的な世論誘導を担っているとも見られています。
ーーMedia Innovation Newsletter
あぶらそば、まぜそば、うまいんだけど、なぜか自分の中でラーメンを超えてこない。
2024年04月14日 euphoria
原材料や形から見れば、｢そうめん｣、｢冷麦｣、｢きしめん｣等もうどんの仲間ですが、生活の中では呼称が区別されています。
また、原材料の違い、調理方法・食べ方は多種多様です。なかでも、うどんの本場と自称する香川県では｢うどんは別腹｣と言い、三度の食事とは別に食べるスタイルもあります。
さらに、讃岐うどん店舗の形態も｢一般店（食堂スタイル）｣、｢セルフ店｣、｢製麺所付属店｣に大別されるように、讃岐の人の生活ニーズに応じたスタイルが設営されています。
他方、秋田県の｢稲庭うどん｣、群馬県の｢水沢うどん｣、三重県の｢伊勢うどん｣、愛知県の｢きしめん｣、奈良県の｢三輪そうめん｣、福岡県の｢博多うどん｣などもその地域のバックグランドと深く関わり育まれ今日に至っています。つまり、各地域の文化・慣習・特産品まどと結びつき誕生したものであり、その地域の郷土食が全国に広がったと考えられます。
日本うどん学会
新聞、そして新聞社は、クリック数を増やすために存在するのではないし、クリックが増えたところでそれほど経営改善に役に立たないことも、過去10年で明らかになった。新聞社にとって必要なのは存続のための「売上」なのであって、それはクリック数やＰＶと常に結びつくわけではない。
真偽不明の情報が大量にある状態が標準だとするならば、こうした情報を分析、精査し、意味を析出させながら、意思決定に貢献できる妥当な中身、量にまとめて提示するのが、現代の信頼できるメディアの役割であり、「社会の木鐸」としての新聞記者の姿ではないか。
筆者は、情報が少なかった時代のジャーナリズムを、速報、取材、告発を重視する「規範のジャーナリズム」と呼んでいる。これに対し、ネットやSNS、さらにAIによって情報があふれた時代に求められているのは、整理、分析、啓蒙に貢献する「機能のジャーナリズム」だというのが筆者の見立てだ。10年ほど前からこのような主張を行っている。
一面にこの手の記事を見かけるたびに、「読者をヒマ人扱いしている」と感じてしまう。もっと読むべき、掘り下げるべき出来事が世界にはあふれていないだろうかと憤ると同時に、余計なお世話とはいえ、新聞社の経営資源を心配してしまう。
ーー西田亮介のN次元考 その「エモい記事」いりますか 苦悩する新聞への苦言と変化への提言
西田先生の主張に賛同します。
インターネットのクリック数やPV数を重視すると、やっぱり理性よりも感情に訴える記事の方がユーザーに訴える力はある。また、ナラティブやエモさ重視の記事は、新聞ではなくて雑誌の本分だった気もするんですが、雑誌の相次ぐ休刊や取材費が出せない低予算化などによって、その役割が新聞に移ってきたのかもしれない。
ただ、共感に訴える記事は同じ道徳的な価値観を持つ人の間でしか広がらない。哲学者のジョシュア・グリーンがいうように、「道徳部族」のなかでしか流通しません。同じ価値観を持たない他人、いわば異なる「道徳部族」のひとに対して、人間は驚くほど冷淡です。
意地の悪い言い方をすれば、初めからリベラルな価値観を持った読者のあいだで、リベラル的にエモい物語が拡散して、リベラルな道徳感情を刺激するだけのリベラルな媒体になりかねないと思います。
異なる道徳的な価値観を持つ人間同士が対話できる。リベラルとは違う「道徳部族」であっても議論できる。その共通の前提になりえるのが、データやエビデンスだと思いますので、その辺りを重視した記事が読みたいです。
綿野恵太
哲学者ジョシュア・グリーンはアメリカのリベラル派と保守派の激しい対立を道徳部族の対立なのではないかと指摘した。また、このような道徳部族の対立が厄介なのは、立場に関わらず、事実の認識を歪めてしまうことにもある。例えば、気候変動の問題はフェイクではないかという保守派の主張、左派による放射能の過度な危険性の指摘などが挙げられる。
https://rohmtheatrekyoto.jp/archives/assembly-imatalk16/
◎繰り言シリーズ
「同じこと何回目ですか（繰り言）シリーズ」。
《パーパスめっちゃ言いますね》
パーパスの重要性を熱弁してしまう愚。
実世界でも繰り言の多い老害に堕しつつある。
2023年05月27日 dint
解像度を上げる。（粒度は下げる？）
ドメイン知識をつける。掘る。深める。
2023年07月27日 賢者は中道を取る
【深層防護】 defense in depth
原子力発電所のように膨大な危険物を内包した装置に向き合うための基本的な考え方。多重防護ともいう。(1)故障を起こさせない、(2)起きた場合には拡大を防止する、(3)事故に発展した場合の影響緩和策を準備しておく、の三段階からなる。地震対策を講じたり、故障率の少ない機器を使用したりするのは(1)のため、故障した場合に備えてECCS（非常用炉心冷却装置→「冷却材喪失事故」）などの防護系を多重配備するのは(2)のため、さらに原子炉立地審査指針にのっとって人口密集地から離すなどの対策を施すのは主として(3)のためである。それらを担保するために、安全審査、定期検査などを行う。従来、定期検査は13カ月を超えない期間ごとに実施することが義務付けられていたが、経済性を求めて稼働率を上げる要求があり、2009年1月の省令で、定期検査間隔を18カ月、さらには丸2年に延長できるようになった。深層防護が破られた場合には、防災計画が発動される。
小出裕章 imidas 時事用語辞典
https://imidas.jp/genre/detail/K-104-0027.html
【ナレッジグラフ】
論文、研究データ、研究プロジェクト等のリソースと、それらの間の引用、助成等の関係性を明確に定義したもの。
https://www.nii.ac.jp/news/release/2024/0327.html
賢く生きようぜ。
コペ転とphantom slayerが出逢う。
ひとつ賢くなった！
迷妄が啓けた！
少なくとも自分がどんな陥穽に嵌まりやすいか、わかった。
何回かに1回かは回避できよう。
成果の期待値も上がろう。
自分の人生に期待が（ちょっと）持てよう。
→そりゃテンション上がるよねと。
バカだ、気づかないのかお前、と指弾されうることに（事後にしろ自発的にしろ）気づいて、ホルホルして何が悪い。
→それを後生大事に、人の目に触れるところに、自慢として記さなくても良いのでは？
という指摘は甘んじて受ける。
2023年12月31日 UNDP
living wisely。賢く生きようぜみなさん。そんな愚かな争いはやめましょう。もういちど大事なコペ転浚い。
なんなら私が教導します。その「先」が見えているこの私が。だから「僕のはなし」を読んでください。
当然読んで下さいますよね。
◎wisely
コペ転は気持ち良い。だからブログもやめられない。
賢さを極めるのではなく、せめて愚かさをつぶしていきたい。
次々見つかる穴を塞ぐ。
せめて記録に残して「5年前にも同じ失敗をしてウダウダ言っているじゃないか、いい加減やめよう…」と思いたい。
愚かさはかなり積み上がってきた。
まだ失敗するけどパターンを見るにはやっぱりいいツール。失敗帳。
2022年05月06日 constraint
【発見的手法】
ヒューリスティック、またはヒュリスティック（ヒューリスティックス、ヒュリスティックス[heuristics]とも）とは、ある程度正解に近い解を見つけ出すための経験則や発見方法のことで、「発見法」とも呼ばれます。
いつも正解するとは限らないが、おおむね正解するという直感的な思考方法で、たとえば、服装からその人の性格や職業を判断するといったことは、ヒューリステックな方法といえます。理論的に正しい解を求め、コンピュータのプログラムなどに活用される「アルゴリズム」に対置する概念です。
https://www.keyence.co.jp/ss/general/iot-glossary/heuristic.jsp
ヒューリスティック（heuristic）とは、「発見的手法」という意味の心理学用語で、必ずしも正しい答えではないが、経験や先入観によって直感的に、ある程度正解に近い答えを得ることができる思考法です。「経験則」と同義であるとも言われています。
例えば、信号が青のうちに横断歩道を渡りきれるかどうか、人は歩数や速度などから緻密に検証しなくても、慣れた動作で自然に渡れば間に合うと判断し、そのまま渡ります。このように、普段の行動の裏にはヒューリスティックによる思考が無意識のうちに行われています。
ヒューリスティックによって素早い意思決定が可能となりますが、判断結果には一定の偏り（認知バイアス）を含んでいることがあるため、注意が必要です。
■代表的なヒューリスティックの種類
�� 代表性ヒューリスティック
代表的、典型的なイメージ（ステレオタイプ）を過大に評価する。
例）外国人（のような見た目）だから英語が話せる、経営者はいいスーツを着ている
�� 利用可能性ヒューリスティック
自分の見聞きしたことや口コミ、衝撃的な出来事など、想起しやすい情報から確率や程度を判断して評価する。
例）車より飛行機の方が事故の起きる確率が高いと考える（実際には車の方が多い）
�� 係留（アンカリング）と調整ヒューリスティック
最初に与えられた情報（アンカー）を基準として物事を評価する。
例）初めから500円と聞くより、「1000円の商品が今なら50％オフ」と聞く方が、同じ商品でも得だと感じる
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経験や先入観から「架空のシナリオ」を考え、結果を推定する。
例）過去のスピーチの失敗経験から「明日もまた失敗するだろう」と考える
ヒューリスティックには、素早く判断を下せるメリットがある一方、深刻な判断ミスを引き起こす可能性もあります。そうした弊害を避けるために、日頃から意識して論理的に考えたり、数字やデータなど客観的な情報から合理的に判断する習慣を身につけておくことが大切です。
https://www.insource.co.jp/keywords/heuristic.html
注意すべきは、従来の考え方ーー経営者の役割は株主価値を最大化させることーーが間違っているわけではない、ということです。利益を出し、投資家に利益を還元することが経営者の重要な役割であることに変わりはありません。経営者は投資家に利益を還元する法的義務を負っているのですから、適切な利益を創出できなければ当然解雇されるでしょう。
重要なのは、何を目的として設定するかです。株主価値の最大化そのものを目的とするのか。あるいは、もっと大きなことの実現を目的とするのか。
会社が新しい事業をはじめて雇用を創出するのは何のためか。社会全体を豊かにし、格差問題の解決に貢献するためでしょう。すばらしい製品やサービスをつくるのは何のためか。よりよい社会を実現するためではないでしょうか。つまり、利益を出し、株主価値を最大化することは、「目的」ではなく「手段」なのです。
日本の読者の皆さんにとって「市場に政府の介入など不要だ」という考え方は少し馴染みのないものかもしれませんが、世界の大半の国々では「政府の存在こそが問題の根源だ」と主張する人がたくさんいるんです。政府は無用な規制をつくって、民間セクターの邪魔ばかりしていると。アメリカでは、「政府なんてどんどん小さくしてバスタブに鎮められるぐらいの大きさにすればよい（drown the government in the bathtub）」と主張する人さえいます。
自由主義が正しく機能するのは、真に市場が自由で公正なときのみです。結局のところ、市場には監督者が必要なのです。
すべての人々が、人種、性別、生まれた環境にかかわらず、十分な教育や医療サービスを受けられるような経済システムを実現するためにも、政府の力が必要です。さらには民間セクターが自分たちの利益向上のために、勝手なルールをつくらないように監督するのも政府の役割です。
私が「会社の唯一の目的は、株主価値を最大化することだ」という考え方に当惑するのは、どの業種であっても会社の利益を最大化するために最も効果的なのは、政治家に献金し、ルールを変えてもらい、市場を独占することだからです。しかしこれはフリードマンがめざした自由市場ではありません。ただの腐敗です。
ーーレベッカ・ヘンダーソン
実は株主価値の最大化を追求する資本主義の概念は、比較的最近のもので、1970年代にハーバード大学経営大学院のマイケル・ジェンセン名誉教授をはじめとするアメリカのエコノミストがエージェンシー理論を提唱したことがはじまりです。
この考え方は、その後1980年代に、ハーバード大学経営大学院をはじめとする教育機関からどんどん広がっていきました。しかしそれ以前には、経済界にも渋沢のような考え方をする経営者が数多く存在していました。
政府が本気で再生可能エネルギーへの転換を推進するのであれば、既得権者である大手電力会社に「利益を減らしてでも石炭火力発電を減らせ」「高い炭素税を負担せよ」と言わなくてはなりません。しかし問題は、政府も政治家もこのトレードオフについて語らず、目標だけを掲げていることです。本気で温室効果ガスの排出を削減するのであれば、既存の電力会社の利益は減り、火力発電に関わっている人たちは職を失い、国民の生活にも不便が生じます。
ーージェフリー・ジョーンズ
